海外へ留学する際に、留学先の現地の医療保険と日本の医療保険、どちらかを選ぶなら、迷わず日本の留学保険をおすすめします。理由は、現地の医療保険にはない賠償責任や生活用動産に対する補償、保険会社の担当窓口と日本語でやり取りできること、加えて留学生を広範にサポートできる体制が整っているからです。
一番のメリットは、現地にいても日本語でサポートが受けられること
海外で学生が加入する保険といえば医療保険です。医療保険に特化しており、色々な補償やサービスがないので保険料は安価です。
海外の高校・短大・大学では留学生に学校指定の医療保険に加入させる場合が多く、語学学校や専門学校では保険加入は強制されないので、現地の留学生向け医療保険か日本の留学保険か、どちらかを選んで加入します。
実際には、日本人留学生の多くは日本の留学保険に加入してから渡航します。
日本の留学保険が選ばれてきた理由は、長期滞在する留学生の生活全般を補償対象とし、強力にサポートしているからでしょう。中でも一番のメリットは、医療サービス・事故受付どちらについても、年中無休、日本語で電話連絡や相談・保険金請求ができる点です。電話による医療通訳は、どの保険会社でも基本サービスになっています。
日本の留学保険はキャッシュレス・メディカル・サービスが基本
現地の医療保険と日本の留学保険、どちらも治療費用・救援費用に関わる補償内容に大きな違いはありません。
しかし、日本の留学保険ではキャッシュレス・メディカル・サービスが基本になっていることは優れている点と言えるでしょう。
保険会社によってキャッシュレス対応の提携病院数は違いますが、キャッシュレス・メディカル・サービ提携病院であれば、保険会社と医療機関が直接やり取りしてくれるので、高額な治療費を気にせず治療を受けられます。
一方、留学地としてポピュラーなアメリカの保険を例に挙げてみると、窓口で毎回一定額を支払、さらには治療費の一部を請求書払い、次に契約で定められた割合で自己負担と保険会社による支払になります。保険料さえ支払えば病院ではキャッシュレスで治療が受けられるということはありません。
現地の医療保険だと、こんなに手間がかかる!
日本の留学保険のように、キャッシュレス・メディカル・サービスがない現地の医療保険。
それ以外にも、きめ細かなサービスは用意されていないので、何から何まで自分自身で、それも現地の言葉もしくは英語で対応する必要があります。
留学保険では一般的な、保険会社が医療機関に予約連絡を入れてくれるサービスはもちろんありません。自分で現地の保険会社に電話をして、受診予定の病院が、加入している保険に対応できるかを確認します。次に、目的の医療機関に予約を入れます。
受診当日も、医師とのやり取りは現地の言葉です。不安であれば、自分で医療通訳者を探して手配する必要もあるかもしれません。治療費も、キャッシュレスではないため、窓口での支払、請求書が郵送されてきてからの支払手続など、やることがたくさんあります。
現地の保険は医療専門。盗難や携行品補償はなし
留学生が現地で加入する保険はあくまで医療保険なので、それ以外の賠償責任・損害・盗難に対する補償はいっさいありません。
それに対して、日本の留学保険は、死亡保障・治療費用と救援費用補償、トラブルに備えた賠償責任・生活用動産・航空機寄託手荷物遅延等費用・航空機遅延費用補償が柱となっており、留学生の生活全般を支えるための補償内容が整っています。
日本に比べて、海外のほとんどの国の犯罪率は高く、現地での生活が長くなれば身の回り品が盗難被害に遭うリスクが高まります。日常生活を送る中で、誤って賠償責任を負うこともあるでしょう。ケガや病気に備えるだけでなく、こうした損害を補償することも、現地での想定外の自己負担を減らすためには大切です。
海外での賠償責任リスクを甘く見ない!
現地の医療保険に入っていた場合の賠償責任について考えてみましょう。
滞在していたアパートの自室の壁に、うっかり穴をあけてしまったとしたら?仮に、家主が借主の退去後に初めてその穴に気が付いたとしても、帰国後であろうが必ず修繕費用の損害賠償を求められます。海外のほとんどの国では、こうした場合、家主が泣き寝入りするということは考えられず、おそらく損害賠償を請求されます。訴訟が当たり前の国であれば、ささいな損害であっても訴訟リスクはつきまといます。
こうした賠償責任に対する備えがないと都度自己負担することになり、時には予想外の損害賠償請求額となって困ってしまう場合も考えられます。
現地の医療保険に加入するからには、賠償責任リスクに対しても、それなりの覚悟と対策が必要です。
現地の医療保険だと、当然のことながらやり取りも書類もすべて外国語!
最近では、現地の保険会社の医療保険でも、渡航前にネットで加入申込みができる場合があります。日本人留学生が多い国では、日本人担当者または日本語のわかる担当者がいるサポートセンターを設けている保険会社も存在します。
しかし、ネットで申し込むとなると、難解な保険商品やプランの説明、補償内容、保険特有の専門用語が並んだ約款を隅々まで読んで理解してから、申込書に現地の言葉で記入する必要があります。
渡航後に現地で医療保険を申し込む場合も、難解な専門用語の並んだ商品・プランについて現地の言葉で説明を受けることになります。保険適用開始までが無補償なのも気掛かりです。
商品性の理解に疑問が残ることや、保険適用開始までのリスクを考えると、外国語のやり取りに自信がある人でも、日本の留学保険のほうが安心です。
現地の医療保険に対する日本の留学保険の優位性
カナダのような一部の国では、長期留学生ならば公的医療保険に加入することができ、キャッシュレスで治療を受けられるようになります。留学生向けに手厚い補償のある民間の医療保険もあり、比較的安い保険料で加入することがきます。こうした医療保険は保険料だけを見ると、必要経費を抑えたい人には魅力的に写るでしょう。
それに比べて、日本の留学保険の保険料はかなり高額です。しかし、あらゆるリスクを想定して設計された充実した補償や、日本語で受けられる様々なサポートも考慮すると、決して高い買い物ではないはずです。
留学保険は万が一の場合の備えです。保険料だけを判断基準とせず、長期間海外で生活する留学生を支えられるだけの補償内容やサービスが備わっているかを見極めたいものです。